昭和30年代の高度経済成長期以降、社会変動の影響によって地域固有の伝統的な町並みや集落が急速に失われていきました。そのような状況に危機感を覚えた人々によって、全国で町並み保存の機運が高まり、その取り組みを支えるために設けられた制度が、伝統的建造物群保存地区の制度です(伝建制度)。
昭和50年、文化財保護法の改正に伴い、「伝統的建造物群」が文化財の一つとして新たに加えられました。個々の建造物だけでなく、歴史的な景観が保たれた建造物のまとまりに価値を認め、文化財として保護しようというものです。
市町村は伝統的建造物群保存地区(伝建地区)を決定し、地区内の保存事業を計画的に進めるため、保存条例に基づき保存活用計画を定めます。国は市町村からの申出を受けて、我が国にとって価値が高いと判断したものを重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定します。